薔薇の欠片




貴方……


玲さんの、
温もりがなかったからだね。




ピースが埋まっていく気がした。


抜け落ちていたピースが、埋まっていく。



湖のことも、


決別のことも、


告白のことも……



ただ、足りない。


まだ、完全ではない。



私は、涙を拭い家へ戻った。



「お帰り、憂。

 ……憂、目が赤いわ」



家へ帰ると、母が私を出迎えた。


私はなんでもないです、と返事をし

階段を上り自分の部屋に入った。


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