薔薇の欠片
「早く寝なさい。体調も悪そうよ」
私は頷いておやすみなさい、と言った。
その瞬間、母が苦しそうな顔をした。
苦しくて、悲しい顔。
すぐに微笑んで見せた母も、おやすみと言って静かにドアを閉めた。
高藤さんの言葉の意味。
母の表情のわけ。
写真の中で微笑んでいる私と玲さん。
欠片は取り戻した。
だけど、組み立てられないだけ。
いっそのことなら、
貴方が迎えに来てくれればいいのに。
いつだって、
貴方は私を迎えに来てくれたのに。
早く来て。
じゃないと、貴方が足りないの。