薔薇の欠片
鏡面越しの二人の姫君
次の日、突然に百合はやって来た。
「久しぶり、憂」
私の部屋に入ってきたかと思うと、
いきなり座り込んでテーブルに置いてあったポットでコップに紅茶を注いだ。
「いい香りよね」
そう言って、紅茶を一口飲む百合。
ベッドに座っていた私も降りて、百合の隣に座り紅茶を注ぎ一口飲んだ。
「本当、いい香り……」
私は紅茶の香りと混ざって、もう一つの香りがした。
私は隣に座る百合を見て言った。
「香水?」
「……あ、うん。そうそう」
百合はしまったと言う顔をして、私から顔を逸らした。