薔薇の欠片
私はさほど気にしなかったが、
百合がきまづそうな顔をしていたので、尚更その香水のことが気になった。
「その香水、どこで買ったの?」
「えっと、その……街の香水店で」
「じゃあ、行ってみればあるかしら」
私は立ち上がって、街に出る私宅をしようとしたが百合が私のワンピースの裾を掴んでとめた。
「その……香水、限定品で今無いの」
「そうなの」
私はまた、座り込んで肩を落とした。
百合は疑いの眼差しで私を見る。
「憂、この香りも覚えていないの?」
「え……」
私は百合に近づいて、香水の香りを嗅ぐ。
確かに、どこかで香っていたような気もする。
けど……
「本当は、憂のお母様に止められていたんだけど……」
百合は自分のバッグから香水のボトルを取り出した。