探してみようか?
何事かと若者も立ち止まってみたが、前にはなにも見えなかった。



「ねぇ、君名前は?うっかり聞き忘れてたよ。僕はブラドさ。ちょっとここいらでは有名人なんだ。」

「へぇ…僕はシェイドさ。僕の兄貴は影の有名人なんだけどね。」

「影のって?」

「大道芸とかやってるんだ。だから名前は知られてないけど有名人。」

「へぇ!イイネェ~…ところで君はなんで男娼なんか?」

「君はなんでその男娼を買って何もしないんだろうね?」


今度はシェイドが笑っている。
余程可笑しいのだろう自分を買った客でこんな飄々とした奴はいなかった。
それどころか、本来の目的であろう場所さえ行かないのだ。



「うん?僕は別にしたくて君を買った訳じゃないから。」
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