addiction to you~恋はココから始まる~
夜叉は姫が去った後、右手で頭を押さえた。
その様子を見ていた愁斗が夜叉の傍に来た。
「あの子さ…まだ、13歳だよ…」
「そうだな」
愁斗は静かに夜叉の言葉を聞く。
「13歳の女の子が…あんなに自分を追いつけてる…自分の好きな事を諦めてる…」
夜叉は愁斗の胸に顔をうずめた。
それを見て、愁斗は夜叉の頭を優しくなでる。
「こんなの…悲しすぎる」
「俺さ、思うんだ」
愁斗のその言葉を聞いて、夜叉は顔を上げた。
「…何?」
「あの子はあの子なりに、悩んだ結論なんだろ」
その言葉は凛としていた。
「本当は走る事を止めたくない。でも、自分を護って人を傷付くのを見ているのに耐えられなくなり…
好きな事を止める事により、その人達に詫びているって事だろ」
愁斗のその言葉には重みがあった。
「もしかして、あたしを励まそうとしてる?」
「如何かな」
そっぽを向く。
「…ありがと、愁斗」
「あぁ」