if イフ
こめかみの辺りがズキズキ痛み始めたから、私はいったん考えるのを止めた。
ブツブツ独り言を言いながら宿題をしている司君の側へ行ってペタンとカーペットの上に座った。
「もうちょっとだけ。待っててね。」そう言って私の頭もぽんぽんと触って優しく微笑んだ。そしてまた真剣な顔でノートに何かを書き始めた。

何気に司君の教科書を一冊取り、ぱらぱらとめくった。
「!!!!」
小学4年生が高校2年生の教科書を見ても分かるはずがないのに・・・私は息を呑んだ。
教科書を持つ手が震え、じっとりと汗が出てきた。
私にはその内容が分かったからだ。
分かるというより、昔習ったものを久しぶりに見たような感覚だった。
ゆっくりと教科書を閉じて、乱れた息を整えた。

「理香ちゃん?どうしたの?!顔色がよくないよ。気分悪いの?」
司君があわてた様子で私を覗きこんでいるのが見えた。

大丈夫、と言おうとした途端意識を失った。
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