BEST FRIEND
結局、美香が払うと言ったのに高谷が食事代を払ってしまった。
「これじゃあお祝いにならないじゃない!」美香はふくれた。
「いいよ。また今度奢ってくれたら」高谷は笑った。 プレゼントは高谷が苦手だと言うので渡したことがない。奥さんに見つかるとまずいのだろう。
「タクシーでまわってやるよ」高谷はタクシーを止めながら言った。
「いいよ。彼に来て貰うから」美香は手を振った。
「いいなぁ。若いもんは。じゃあ気をつけて」
高谷のタクシーが行ってから美香はきびすを返して駅へと歩いた。星がちらほらと見える暑くも寒くもない夜だから、しばらく歩きたい気分だった。
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