美香
―『翔太元気?アドレスが変わっていないことを願って、
メールを送ります。
あれからもう三年半も経つんだね。祐太はもうすぐ三歳になります。
祐太というのは、あの時私のお腹にいた子どもです。
あなたを知る人が見たら、きっと笑ってしまうくらい、
あなたにそっくりです。
あなたはあの時自分をすごく責めたけれど、
私は一度もそんなふうに思ったことはないよ。
だってあなたは私に、かけがえのない宝物を与えてくれたんだもん。
そして私にとってあなたは、いつだって正直で誠実で、
とても優しかった。ありがとう。
私は元気だよ。
つらい時とか私が泣くとね、あの子どうしよう・・って困った顔をして、
一生懸命頭をなででよしよし・・って慰めてくれるのよ。
あんなに小さな胸を痛めて、あんなに小さな手をさしのべてくれる存在は・・
本当に奇跡です。
言葉に言い尽くせないくらいの、ありがとうを込めて・・。
さようなら。 美香』

数分後、アドレス不明でメールが返ってこないことを確かめると、
美香は携帯電話の電源をそっと切った。―
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