コンビニラブ
#1
その客は印象深かった。


ジーンズをブーツインした上に、
ミリタリーのアウター。

ニット帽から下がる、茶髪の巻き髪からのぞく顔は、
もう、夜中の1時を回っているというのに、
バッチリとメイクアップされている。


酒に酔っている様子はない。


(女の子が独りで、こんな時間に何やってんだ?)


東京とはいえ、特に繁華街ではない場所にあるコンビニで、
バイトを始めて3ヵ月のこの男、
村上伸治は、
秘かに、そう思いながら、
気にならないフリをして
レジの中に立っていた。


それまでに、何十人は接客をしてきた。


レジを打つバイトより、
レジに出る数字にだけ執着する、無愛想な客がほとんどの中、
やたらと話かけてくる客に戸惑ったり、
そうかと思えば、
イチャモンをつけられ、平謝りさせられたりと、
印象に残って当然と言った客は、いくらでもいた。


彼女の何がそんなにインパクトがあったのかと言うと…


話せば少し長くなる。


この男、実は数日前に
2ヵ月ほどつき合った彼女にフラれていた。


それが、どんな関係があるのかって?
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