コンビニラブ
それは、吉野からの電話だった。


「もしもし伸治くん?今どこら辺にいるの?」


唐突な質問に

「つばさ公園。アンちゃんも一緒だけど、あ、来たかった?」

呑気に答える伸治。


「じゃあ、まだ1時間はかかるかなぁ?」

「もう帰るトコ。どーかした?」

「今日、彼女と約束してなかった?」

「え?」

「さっきまでマンションの前に居たんだよ。連絡がとれないって、心配してた。」

「マジで?!やっばーい…」


伸治の慌てぶりに気付き、先に車内に乗り込むアン。


「あ、大丈夫。オーナーから聞いて、配達だって伝えておいたから!」

「!…?」

「ソレ聞いたら、仕方がないって言って帰って行ったよ。」

「ケータイ、クルマに忘れてて…そっか〜。」

「つーかさ、いつもオーナーに世話になってるとは言え、彼女との約束忘れちゃマズイんじゃね?」

「ハッキリしなかったんだよ!そのうち連絡くると思いながら…」

「うん、じゃ、電話してやったら?」

「そーだね。あ、ありがとう!上手いこと言ってくれて。」

「はいよ。じゃね」



聞こえてなくても、状況を察知したアンは

「ごめんなさい!早く帰らなきゃね。」

と、気まずそうな表情を浮かべた。

< 110 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop