コンビニラブ
伸治の声は聞こえなかったが、
電話で話す吉野を目の前に、
笑いが吹き出しそうなのを堪えていた由衣は

「なんだって?」

「今、電話するって。」


何も知らない振りをして、電話に出るのだった。



「ご馳走様。美味しかった!」

「御粗末さまでした。」

「ねぇ。…お礼に、キスしても良い?」

「…何言ってんの?このあと伸ちゃんが来て会うってゆーのに。」

「あれ?伸治くんが来なければキスするみたいな言い方だね。」

「…なんか、急に悪い顔になったよ。」

「君も!どっちが本性?」

「そっちこそ、何がめあて?」

「…わかってるくせに。」

「はあ?」

「君は伸治くんとは合わない気がする。」

「いい加減にしてください。」

「君は、僕との方が合うんじゃないかな?」

「なにその自信?あなたに何が分かるの?」

「分かるよ!だって、似てるんだもん、君と僕。」

「…早く帰ってくれるかなぁ。片付けなくちゃいけないし。」

「いつでも良いよ。連絡待ってる!」

「?」

「ケータイ…吉野で入れといたから!じゃあ!」

と、吉野は立ち上がる。


「速攻消すけど。」

「お任せします。あ、最後に一つ。」

< 111 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop