コンビニラブ
伸治は思い出した。

昨日、若旦那が言っていた、親戚の子の話を…


「その子が俺のことを?」

「ああ。赤い顔でボーっとしてて、酒でも飲んでんじゃないかってさぁ。」

「ひでー!」

「熱は下がったのか?」

「たぶん。」

「あとでお袋が飯作って持ってくるって言うからさ!」

「え、そんな、悪いですよ!」

「世話やきたいんだよ、きっと!遠慮しないで甘えてやってよ!じゃあ、ゆっくり休んで!シフトはなんとかなるから!」


(…善い人達だぁ…。)


奥さんの作ってくれたご飯は、
とても、身体に気を使ってくれてることが伝わるものばかりだった。


そのうち、実家から戻った若奥さんも、
伸治の部屋に、謝りに来てくれた。


「違うんです!裸のままで寝てたのがイケなかったんです!そんな、謝ったりしないでくださいよぉ。」

「あ〜。裸で寝るときは、一人じゃ風邪引くわよね〜。」

「ですよね〜。」

「まぁ…頑張って!色々と!」

「あざ〜す。」


こうして、
しょっちゅうオーナーがやってくるワンルームマンションでは、
へたに散らかしたままではいられず、気が抜けないのだった。
< 12 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop