コンビニラブ
#9
「伸ちゃん!起きて!9時になっちゃう!」


めずらしく荒々しい、由衣の声に揺すり起こされ、

「ヤベっ!」

とび起きた伸治は
ヨロめきながらベッドからおり、
一目散に洗面所に向かった。


手早く身だしなみを整え、
服を着替えながら

「わりぃ。テキトーに休んでて!部屋、このままでイーから!なんもしないで…遅くならないうち帰れよ。」

「うん。いってらっしゃい。」

「じゃ、またな。気を付けてな!」


伸治の部屋で、
伸治のベッドの中から、
伸治をおくり出す由衣。


二人の間に、信頼感があるからこそのコトで、
何の不安も、疑いも無かった。


そんな余韻にひたり、
ゆっくりと帰り支度をする由衣は、
念入りにメイクを直す。


ようやく靴を履き、
ドアに手を伸ばした時、

なぜか手を止め、
バッグの中から携帯電話を取り出した。


“よ”の文字から検索して、
カーソルを“吉野”にもってくると、
軽くため息を吐く。


「何がしたいんだ、あたし?」


ケータイを閉じ、バッグの中へとしまったついでに
ガサゴソと、鍵を探して持ち替えた。


自分の部屋の鍵の隣についてる、
この部屋の合鍵を見つめ、
ニッコリと微笑むと、
ドアを開けて部屋を出た。

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