コンビニラブ
口ごもる由衣に、吉野は言う。

「今、どこからかけてんの?」


その数分後、
由衣が口にした場所に吉野は向かっていた。


由衣のマンションよりも、
少し先に行ったところにある公園

そのブランコに座って、軽く前後に揺らしている由衣の姿をみつけた。


吉野は一度立ち止まり、
ゆっくりと歩み寄る。



「うっす。」

「ホントに来たぁ。」

「来るよ。あんな声聞かされちゃあ、気になって仕方がない。」


サラリと言ってのける吉野は、
もう一つのブランコに座る。


「…あたしね、自分から告ったの初めてなの。今まではさ、ナンパだったり、合コンだったり…一緒に遊んで楽しい人を、あたしが選んでたから。」

「ふーっ。…今までどーり、伸治くんとも一緒に楽しめばいーじゃん。」

「だって…」

「もう少し力を抜いてさぁ。一生分を遊びきったって歳でもないワケだし。」

「そーだけど。」

「ムリしてつきあっても」

「ムリなんかじゃない!」

「じゃあ、何がそんなに不安なの?」

「…」

「本当の自分を曝け出せない理由は何?」

「嫌われたくないだけ。」

「いつもフラれるクチかぁ。」

「!別に、今までは本気じゃなかったもん!」

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