コンビニラブ
それにしてもよく喋る。


「今やってるドラマって、どの辺で撮ってんだろ?」

「こないだの公園のシーンあったじゃん。あれ、バイトの子ん家の側って言ってたよ。」

「どこ?!」

「どこっつったけかなぁ」

「ちょっと、そこ肝心なとこじゃん!」

「今度聞いとくよ。」

「えー!気になる〜!なに、そいつのケータイ知らないの?」

「もしかして行く気?」

「もち行くでしょフツー!アピるでしょー!」

「そんなにまだ知らないんだよねー、その子。あ、待って、分かるかも。」


聞くつもりはないのに、
聞こえてくるギャルの会話に、

(芸能人と逢うためには、それなりに努力が必要なのか…。そりゃそーだよなぁ!)

伸治は納得した。


家と学校とバイトを行き来するだけの生活では、
芸能人を見かけるどころか、
交友関係すら広がっていかない。


それに比べ、
このギャル達のネットワークの広さ!

そうこうしているうち、
とうとう、
アキラという俳優のドラマのロケ地を探し当てていた。


(ここはネットコンビニかよ!あ、ソレ良いなぁ!)


伸治と、それほど歳も変わらなさそうなギャル達のパワーに圧倒されながら、

自分にはマネできないと思いつつも、

はたして自分は、これで良いのかとも感じた日だった。
< 16 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop