コンビニラブ
とっとと切られた電話を見つめ、

「だって言えないだろ。伸治くんが引越して来たときが“それまで”だなんて。アンとくっつけてやろうと思った瞬間だったぁ…だなんてな。」

と、ひとり言をつぶやく吉野だった。


その時、
ドアの外で話声がするのに気が付いた。


「お帰りかな?」

ドアに耳を近づけ様子をうかがうと、
どうやら、
アンがマネージャーと話をしている様で…


(女のマネージャーなのか?)

と、さらに耳をくっつけた時、

ガターン!!


立て掛けて置いた傘が倒れ、
ドアに当たってしまった。


一瞬にして身体は固まり、
しばらくそのままで、
序々にその場から離れる吉野。

今でも心配で、気掛かりなのだろうか?



その次の日の遅めの朝、

学校に向かおうと部屋を出た吉野が、エレベーターを待っているとき
アンの部屋のドアが開いた。


(やべっ。)


あの出来事以来、顔をあわす事がなかった…
いや、
どう合わせたら良いものか分からず、
ずっと避けていた吉野だったが、


「おす。」


案外、いつもの様に自然と言葉がでる自分に驚いている。

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