コンビニラブ
「何してんの?休日に一人?」

と、吉野は辺りをキョロキョロ見渡した。


「あー、さっきまで由衣と一緒だったんだけど、急遽予定が入っちゃって帰られた。」

「あらら。彼氏より大事なこと?心配だねぇ。」

「あははは、違うよ。女友達とだよ。」

「ホントに女なのかなぁ?」

「その子が、ちょっと色々ある子でさ!」


由衣を信じきっている、自信満々のその顔を見て、

「おっと。余裕ですね〜。でも、しっかり捕まえておかないと、女は甘い言葉に弱いから気を付けて。」

と、負け惜しみとも思える発言をしてみせる吉野。

すると、

「吉野くんが言うと違うなぁ…」


何やら、ため息混じりにつぶやく、伸治のことが気になった。


数日前、アンからのメールにも、同じようなニュアンスの言葉があったことを思い出す伸治。


その時は、
由衣側の気持ちとして受け取った伸治だったが、

(あれは、俺を心配してくれた言葉だったのか?…まさかな!)と、

その忠告は、やはり伝わらなかった。

それどころか、

「その子の失恋話に、男として、俺の意見を参考にしようとするんだけど、そーゆー時は、吉野くんみたいな人の言葉が説得力あっていいんだろうなぁ。」

などと言い出す始末。


「ははは、そんなことならいつでも使ってよ。ちょっと年とってる分、少しは役にたつかもよ。」

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