コンビニラブ
急遽、吉野のバイト先のバーへ行くことになった。


そこは、
伸治達が飲み会で使うような店とは違って、
街並み同様、店の中も静かで、
高級感あふれる、ムードたっぷりな場所だった。


だいぶ緊張しながら、カウンターに通された伸治に、

「いらっしゃいませ。」

と、年配の男が歩み寄る。


「え、あ、あの〜。」

「わたくし、ここの支配人をさせてもらっております。吉野くんのお連れさんだそうで、どうぞゆっくりと楽しんでいってください。」

「あ、はい。」


そこへ、着替えを済ませた吉野がやってきて、

「お待たせしました。」


胸を撫で下ろした伸治の目に映る吉野の、その出で立ちは、
バーテンダーそのものだった。


「へー。さすが決まってるね。」

「何にする?まだ他に客もいないし、そんなに混み合うジャンルの店でもないから、なんでも言って!」

「じゃあ、何か作ってもらおうかな。あんまり甘くなくて、足にこないヤツ。」

「ふっ。伸治くん、偏った情報に囚われすぎ!」

「やっぱり?」


吉野が出すリキュールは、スッキリとしていて飲みやすく、

もう何杯目となるのか?

伸治は、だいぶ酔っているようで、

自分の身の回りのことや心境を、ペラペラと語りはじめた。


これが、吉野の魂胆だったのか?
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