コンビニラブ
そう言って納得したものの、
この目で確かめないと気がすまなかった伸治は、
一人、その場を訪れていた。


いつもが、どのくらい集まるのかは知らないが、
マニアの中でも、同じ考えの者が何人も訪れる中、

見覚えのある容姿の、女性二人組が目についた。


「ん?」

「あ!」


せっかくのオフだったからであろうか?
アンとマネージャーも、確かめにやって来ていた。


「ズルイ!抜け駆けだ!」

「たまたま近くを通ったからです!おまえだって!」

「ゆっこさんが意外と興味持っちゃってさ!」


突然ふられたマネージャーは、
目を丸くして、驚いた顔をしていた。


「…御覧のとーりです。この天気でもこのヒトだよ。目黒駅なんかもっとだぜ!」

「そーだね。見えないかなー富士山!」

「次回に期待しよ!千石橋?」

「仕事が無いコトを祈る!」

「そんなにハマったの?」

「うん!あれがこっちでも見れたなら“東京も捨てたもんじゃないなぁ”って思える気がしてさ!」

「…でもさ、やっぱり富士は近くで見るに限るなぁ。あの雄大さは圧巻だよ!」

「そーだけど、」

「って、こっちで見える富士のこと馬鹿にしてたんだけど、見えたら、やっぱ嬉しいよ!…ま、こっちにもこっちの良いとこがあるってこと!最近思うんだ…“帰れる場所がある俺は幸せだ”って!こっちに来て発見したことも、いっぱいある!」
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