コンビニラブ
彼女がやって来た直前直後、
店には誰も入って来ていない。

外を見ても、クルマに乗ったままで、誰かを待たせている様子もなさそうだ。


そうこうしているうちに、

彼女がレジに向かって歩いてきた。


「いらっしゃいませ。」

夜中にふさわしい声のトーンで接客する伸治。


彼女は、いま流行りのコーヒーに、メロンパンとバナナを置いた。


伸治がレジに通し始めた時、

「あ、ヨーグルト持ってきていいかな?」

彼女は聞いた。


他に並んでいる客はいない。


「あ、はい。だいじょぶっすよ。」


商品を袋に入れ終えた頃、ヨーグルトを持って、小走りでやって来た彼女は言う。

「スプーンいらないから!」

「…はい。」

「ホントは袋もだったんだけど、遅かったね!」

「あー、抜きますか?」

「いい、いい!はい。千円から!」

「千、あ。これ五千円ですけど…」

「ホントだ!あぶなーい!でも…無いからいいや!五千円からで!」

「はい。」


そして、渡されたお釣りを財布に入れながら、

「どーもー。」

彼女は歩きだした。

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