コンビニラブ
ちひろは、しくしくと泣きだした。


仕方がない、
本命の檜垣に相手にされてないのだろう。


(なんで俺にだけ、こんな強気?勘弁してくれよ…)


出入りする客が、チラチラと見ながら横を通っていく。

この際、客は無視して、いっさい顔を見せなかった。


「どうする?由衣ちゃんにきてもらう?」

「…いい。」

「話し合った方が良いと思うけどなぁ。」


頭をかきながら、ガラス越しにレジを覗き見た。


「ごめんなさい。」

「あー、こっちこそ言い過ぎた。ごめん。…檜垣は、色々と忙しい奴だから…ホラ、俺なら、いくらでも話聞いたり、またさ、飲みに行ったりさ!」

ちひろは顔をあげて伸治をみた。


「あ、友達としてだよ!由衣ちゃんも一緒に!(何言ってんだ俺?)」

「由衣のこと、友達って割り切れるの?」

「割り切れるも何も(もう、これはムリだろ〜…)客と店員で、友達にもなってないんだからさぁ…」

「あたし、由衣だけはヤダからね!」

「!」

「…帰る。」


勝手にきて騒いで、さっさと帰っていく後ろ姿を見送りながら、
深くため息を吐く伸治は、
両手で自分の頬を叩き、気合いを入れ直してから、店へと戻った。
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