コンビニラブ
安西絵美里。

オーナーの親戚の娘で、モデルのアンの本名だった。


アンは、安西の安からとったものだった。


「吉野くん、知ってたの?」

「彼女が越してきたとき、あいさつに来たよ。何かあったときは宜しくって!」

「本人が?」

「大家さんと一緒に。」

「そーなんだぁ。(俺と違って、信用されてんだ…)」

「運転手させられてんだって?」

「え、まぁ…」

「大変だなぁ。免許持ってなくて良かったよ!」

「東京じゃあんまり必要ないってこと?」

「取りに行く時間が無かった。」

「学生なのに?」

「バイトと学業に追われてね。でも、就活には必要かな?」

「職種を選べば、なんとか…」

「…俺、クルマの事故で母親亡くしててさぁ。」

「!」

「ここの旦那が親父の親友で」

(そーゆーことかぁ)

「親代わりみたいなもんだな!」

「親父さんは?」

「いない。」

「え!」

「日本には。」

「脅かさないでよ〜!」


でも育ちの良さが、その生活感と穏やかな時間からうかがい知ることができた。


伸治が了解して数日後、
吉野の家に、一回りも二回りも大きなテレビが取り付けられた。
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