コンビニラブ
梅雨があけ、本格的に夏を迎えると、
深夜のコンビニの利用客の人数も幅も広がる。


全体的に、解放的になりやすいこの季節は、
自分も含め、陽気で、
時には火を点けたように熱くなりすぎることもある。


あれから由衣は、伸治のバイト時間を気にせずに、店に入ってくるようになった。


ちひろからは、相変わらず連絡はない。


伸治のモテ期は、あっという間に過ぎていってしまったようだ。


アンの送り迎えも何度か頼まれて、今のところ、まだ断ったことはない。


吉野の部屋からきたテレビも調子が良い。


次のクールとなり、ほぼ一斉に変わった新しいドラマに
また、アキラが出演しているのを観た。


「今が旬かぁ?」


たいした不満も、不自由もなく、平凡で穏やかな時間がながれていた。



そんなとき、
いつもと比べ、だいぶラフな格好で由衣が店にやってきた。

ちょっと、油断してしまったかのように思えるその顔は、スッピンにも見えるが、うっすら赤みがかっている。


「あのさ、薬って置いてある?」

「あ〜、うちはまだなんだ。どうした?」

「風邪引いたみたい。熱出ちゃって…」

「あ、あー、ちょっと待ってろ!ごめん、ちょっと外してイイか?薬取ってくるから!」

「あ、イイっすよ!」

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