コンビニラブ
#4
夜中の12時30分。

伸治が棚の陳列を整えていると、ノーメイクのアンが買い物に下りてきた。


「いら、しゃいませ。」


伸治は少し気を張った。


世間では、夏休みに入っている者もいて、この時間でも、客の出入りが結構ある。


若旦那も早くからきて、裏で仕事しながら、客足が増えた時は店に出てきてくれる。


場合によっては、伸治もあがりがズレ込むこともある、
そんな時季なだけに、
店内中に、アンテナを張り巡らせるのだった。


(何してんだぁ?とっとと買うもん買って帰れよ。)

伸治は気が気じゃない。

それなのに、人の気も知らずに、
アンは雑誌を選びはじめたのだ。


その時。


「ね、あの人、…」

「えー?違うでしょ〜。」

「週刊誌に載ってた写真の…」

「こんなとこにいないよ〜。」


客のヒソヒソ話が、伸治の耳に入ってきた。


(!)

アンは気が付いてないようだ。


そこに、

「絵美ちゃ〜ん!」

伸治の声が店内に響き、
それにアンが反応した。


「旦那さん裏にいるぞぉ。また絵美子はぷらぷらしてるって、怒られるよん!」
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