コンビニラブ
一般的なプロフィールには公表されていないことを知っていた伸治は、
アンの本名を一文字変えて、早く帰るように伝えてみせた。


それに気付いたアンは、手にした商品を持ったまま、

「顔見せておくもん。」

と、いつもと違う口調で、スタッフオンリーのドアを開け、裏に姿を消した。


(ったく。大変だよなぁ。)


勘の良い客も、まだ、半信半疑のまま店に居る。


そこへ、若旦那とアンが一緒に出てきた。


「そんなこと言って、遊びに行こうとしてたんじゃないのか?」

「違います!スッピンでなんかどこも行きません!」

「明日学校は?」

「休みですぅ!」


下手な小芝居をしながら、勘定を済ませたふたりは、うえに上がって行った。


(やれやれだなぁ、ホント。)



伸治のファインプレーだった、
そんな次の日の夕方…


ピンポーン――!


インターホンの相手は

「あたし!絵美子でーす!」

アンだった。
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