コンビニラブ
吉野は知らなくて当然だが、それは由衣だった。


頼まれ物も、色気の無い紙袋に入った風邪薬だし、
伸治との間に、きちんとした関係性があることを確信した吉野は、快くソレを引き受けた。


安心した様子で帰って行く彼女を確認してから、
エレベーターで、自分の部屋の階に降りた吉野は、
アンの部屋のドアの、半開き状態が気になった。


「掃除でもしてんのか?」

そう声をかけ、ひょっこりドアから中を覗くと、男物の靴が目に入り、

(この靴、見覚えあるなぁ。)

と、その時、

「あ、帰ってきた〜!ヨッシーがいないから、伸治くんにブルーレイの」

「!伸治くん居るの?」

「ん?うん。」

「あ、はい!どーも!」

「なんだぁ!今、女の子が来てたんだよ!これ渡してくれって!…恋の薬。」

「!!風邪薬ですよ!」

「そうなの?ホントに今だから、まだその辺にいるんじゃないかなぁ?」


家を知っている伸治は、慌てることもなく、
ただ、二人の顔をキョロキョロと、代わりばんこに見渡していた。


「なにしてんの?行った方が良いんじゃない?」


アンが出してくれたきっかけに、

「あぁ…じゃあ、そーゆーコトで!」

と、伸治はやっと由衣を追い掛けに行くのだった。


「そーゆーコトって?」

「さぁ…」

「俺、モテるんで!ってこと?」

「そうなら、なんか、ムカつくね。」

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