コンビニラブ
そのうち、目を覚ました由衣は、その光景に驚きを隠せないでいる。

「おう。おはよ。美味くないかもしんないけど、食えないことはないと思うから!コレ!」

「ありがと〜!感激!」

だいぶ照れながら、
由衣が食べ終わるのを待つ伸治は、
キッチンを片付けてから、その部屋を後にした。


こんなことされて、好きにならない女子がどこに居るだろうか?


でも、きっと伸治は、そんなつもりは、まったくもって“ナイ”のだった。



そして今、
吉野から薬を受け取ったまま飛び出し、由衣のマンションの近くまで来た時、
由衣らしき後ろ姿をみつけ、

「由衣ちゃん!」


呼び掛けて、振り返えった由衣の、その表情にも気が付かないのだから
伸治の恋愛音痴も、かなりの重傷で問題だ。


「あれ〜?!」

「ごめんごめん!他の階のヤツんちに居たんだ。」

「そーだったんだ。」

「わざわざ悪かったなぁ。コレ、俺も貰いもんだったのに。」

「だって、色々とお世話になったし…あ!今日はこれからなんかあるの?」

「バイト。」

「そっか…ご飯は?」

「まだ。」

「じゃあ、食べ行かない?あたし、おごるから!」

「…なんで?」

「だから、こないだのお礼に!」

「そんなのいいよ!あんま時間ないから、」

「…」

「…ファミレスで良ければ…付き合ってよ。」
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