コンビニラブ
「なにかの見返りのために看病したんじゃないかって、思わせちゃったんじゃないの〜?」

「そんな!」

「人間として当前なことしただけでも、それが恋に発展することがあったっておかしくないだろ。」


吉野の解説は分かりやすかった。


「思わせぶりしたってこてか…俺。」

「ま、騙したワケじゃないんだから、」

「騙すなんて!俺、」

「だから!伸治くんのそーゆーところが、彼女にはストライクだったんだって!」

「…」

「だから悩んでるんだろうけど。あ、そこの道、左ね。」



インテリア館に入って、目を輝かせているアンを、連れて歩く吉野。

その様子が、後ろをついて歩く伸治の目に付き、ふと思う。

(吉野くんは恋愛経験豊富なのかなぁ?)


吉野は、女心も伸治の心も読みとれる、
同じ男として、不思議で仕方ない存在だった。


そんな伸治でも、綺麗なモノをキレイと感じることは人並みらしく、

「あ〜、これキレイだね〜!」

アンのそのひと声に安心した。


「なにコレ〜!おもしろ〜い!」
「なんかコレ、味があっていーなぁ。ねぇ?!」


そのうち、自分と同じモノに、同じ様に感想を添えるアンも
実は変り者なのではないかと思えてきた時、


「伸治くんコレ買えば?」
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