コンビニラブ
伸治がソレを知ることになるのにも、そう時間はかからなかった。


サッカーの試合の前日、
あらかじめ、バイトの休みをとっていた伸治は、
仲間とでの練習のあと、
由衣と、もんじゃ焼きを食べに行く約束をしていた。


そこで、鉄板の上のお好み焼きを、慣れた手つきで切り分けながら由衣が語りはじめたのだ。


「え〜い!このこの!」

「コワイよ。」

「だってアキラがさ、今度は新人アイドルに手ぇ出したって、こにゃろ〜!」

「え?」

「女から迫ったに決まってんのにさぁ!やっぱモテるんだろうなぁ…ホントかどうか知らないけど、噂になるってコトは、なんかしら」

「アンじゃなくて?」

「そんなのとっくに終わってるよ。」

「そーなの?」

「て言うか、あれは違うって!だって、ドラマ班と三流モデルとじゃ接点がないもん。」

「三流なの?」

「一流はパリコレとかのショーに出るモデル。二流は広告やテレビでも活躍してて、雑誌の専属のうちは、まだまだと、あたしは思ってんだけど!」

「よくわかんねー。」

「伸ちゃん、アンのことよく知ってたね!」

「店の雑誌に…」

「そうそう!あれだって、アキラと噂になって名前が出たからじゃん?」


その瞬間、伸治はつぶやいた。

「…そーゆー子じゃないと思うけど…」

「え?」


安西絵美里のことを、ほんの少しでも知っているだけに、ちょっと嫌な感じがしたのだ。
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