コンビニラブ
「…結局ダメだった!」

「!」

「やっと実ったと思ったけど。」

「…やっと?」

「さっき話した、あたしをフった男ってのがアキラなの。」

「!」

「高校が一緒でね…あたしが1年でアキラが3年!」

(やっぱり。)

「渋谷でスカウトされたんだってさ!だから卒業する前に気持ちを伝えてさ、“頑張って!”って言いたかったんだけど、“恋愛は事務所に止められてるから”って…ムカつくでしょ〜!?」

「え、まぁ。」

「だからね、いつかギャフンと言わせたくて、あたしもスカウトされるよう原宿に通った通った!こっちに親戚は居ても、交通費は稼がなきゃならないから、海の家でバイトしてさぁ」

「すごい執念だな。(そーゆー腹いせかよ)」

「そしたらね、ある雑誌に“湘南の常夏娘!”とかって載っちゃってぇ!あたし湘南娘じゃないから、とりあえず“アン”って名前で…そしたら問い合わせが結構あったとかで、今に至ってわけよ!」

「へ〜!やっぱ、強運の持ち主なんだ。」

「で、アキラがあたしに気が付いて、事務所に“地元の友達だから”って連絡がきてさ…“ヤッタ!”って思ったよ。さっそく“事務所がうるさいからムリ”って言ってやろうって…」

「こわっ!」

「でも言えなかった。だって、こんなに話が通じる人、こっちにいなかったから…」

「まぁな。ローカルな話題って安心するよなぁ。」

「業界や東京のこと、流行やお洒落にも詳しくて、一緒に居て話してるだけで楽しかった…」

「…」

「そしたら、やっぱり好きだって思って…でも向こうは若手人気俳優でしょ。そのうち全然会えなくなって。」

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