着せ替え人形


「写真を見てくれれば分かると思うけど、君のその髪って彼女のにそっくりなんだよね」


先程見た写真を思い出す。

…確かに長さと色は似てたかも。
でもこんな髪型の人なんていっぱいいると思うけど。

「髪で決められたってことですか?」


「…声をかけるきっかけはそれだね」


…呆れた。
前に髪を褒めたのはそのせいか。


「ほんとはそれでも、ただの客として口紅か何かを1つ買って帰るつもりだったんだよ?

でも、君の姿勢のよさとか整った顔立ちを見たら撮りたいなって思って…
メイクのプロに頼まなくても注文どおりの化粧をしてくれるだろうし、あんな無茶なこと言ったんだ。

だから…専属のモデルがいるっていうのも嘘だし、もちろん撮影前にキスするなんていうのも嘘。
そのことは謝るよ」


「一ノ瀬さんって…思ってた以上に行動力があるんですね…」


ここまでだと感心の領域だ。


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