着せ替え人形

あんなになやんで選んだワンピースをさっさと脱いで、ドレスに腕を通す。


こうやって服を着替えた時…

あたしはこの人の人形じゃないのかと、いつも不思議に思うのだった。



鏡で自分の姿を確認する。


今回のドレスは胸元が大きく開いているけど、やらしくなくて、女性らしいデザインだった。



「可愛い！」



あまりにも自分の趣味に合っていたので、思わず声を出して感動してしまった。


「そりゃよかった」


その声を聞き付けて彼も寝室へ入ってくる。


「あ…大きな声出しちゃってごめんなさい」


急に恥ずかしくなる。


「いや、嬉しいよ。
このデザインは俺も結構気に入ってたし…
奈津子に似合うと思って選んだから」


口の端を上げながら、彼はカメラのセットを始めた。