着せ替え人形


カメラの前での被写体のあたしは、ただ彼の甘い言葉に酔い痴れていた。


フラッシュが心地いい。


視線と言葉だけで犯されてる気がする。


目を潤ませて求めたり、

口の端を上げて笑ってみせたり、

眉間に皺を寄せて悩ましそうにしてみたり…


この人の前なら、私はどんな役でも演じられるんじゃないだろうか。


全て彼のご希望どおりに。


それで喜んでもらえるなら本望だ。


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