着せ替え人形
21:30
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さっさと撮影を終わらせて時計を見ると、デジタルの文字はそう示していた。
「今回もなかなか良い仕上がりになりそうだな。
見た具合で、オファーが来てる本の表紙のデザインにするか検討してもいいかな?」
ぐったりとベッドに横になっている私を横目に見ながら
一仕事終えて一服中の一ノ瀬さんは、そんなことを言い始めた。
これまで私の写真は、一ノ瀬さんの写真集用に選ばれたり、
よくても雑誌の広告に採用されたりしたことはあったけど…
本の表紙だなんて。
さすがに知り合いの目にとまらないか少し心配だけど…
「大勢の人に見られるのが不安なら、顔ができるだけ分からないような写真を選ぶから」
そう言うと
見え透いたようにあたしの顔を覗き込んで、一ノ瀬さんは微笑んだ。