着せ替え人形
20:30
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ひどく時間がゆっくり流れている気がする。
それに反してグラスの中のビールの減りは早かった。
「一ノ瀬さんは…彼の本、読んだんですよね?」
「うん」
話題をそっちにもっていかれると、少し困るんだけど…
「高宮さんを振るくらいの女性っていったら、すごく美人だったんじゃないですか?」
酔いが回ってきたのか、何だか楽しそうに話していた。
「そうだな…綺麗な人だったよ。
俺の幼なじみでね、それこそ最高の被写体だったよ」
こっちもアルコールのせいなんだろうか。
いらない情報が次から次へと口から溢れだした。
「その頃から写真撮ってたんですね」
「うん、あの頃は雑誌に投稿したりして…彼女の写真も載ったなぁ」