着せ替え人形
「かれこれ1年近くこの仕事をやってるってことは、恋人とか作らない主義なの?」
「…そんな感じです。
私、あんまり恋愛に向いてないみたいで」
非恋愛体質ってことか。
「一ノ瀬さんは?
今お付き合いしてる人とかいるんですか?」
黒めがちな瞳をこちらに向けて彼女が尋ねる。
「いや、いたらそれこそあんなナンパみたいなスカウトは出来ないと思うよ」
それを聞いて彼女は笑っていた。
「俺も同じ。
ここ数年間誰かと付き合ったりしてないよ。
…体の関係を持った人ならいるのにね」
そう言って彼女に笑いかけた。
彼女の頬が少しだけ赤くなった気がする。
…何口説いてるんだ、自分。