着せ替え人形
もう一度ドアを開いて、彼女の顔を覗き込む。
油断も何もない寝顔を見て、思わず微笑んでしまう。
もう少し寝かせてあげたいところだが、時間がないので仕方ない。
「奈津子、着いたよ」
軽く肩をたたくと、彼女はゆっくりと目を開いた。
「あ…おはようございます」
寝起きのために声が少しかれていた。
寝呆けてるのか、辺りをきょろきょろ見回す彼女。
「ここ…どこですか?」
「俺の実家」
「えっ?」
バッと起き上がると彼女は突然ドアを開いて外に出た。
寝起き早々忙しいやつ。