着せ替え人形
「じゃあ…眠くなる話、してあげる。
鞄の中から厚いアルバム出してくれる?」
「…これですか?」
不思議そうな声で返事が返ってきた。
「そう。
…それね、高宮の本のなかに出てきた彼女の写真なんだ」
「えっ…」
しばらく重たい沈黙があった後、
「…どうして私に?」
そう聞かれて、心拍数が上がったけど、気にせず続けた。
「君には…ちゃんと知っておいてほしくて」
…自分、今相当恥ずかしいこと言ってるんじゃないか?
なんて冷静に見る自分がいた。
「さっき、その子が夢に出てきて…目を開けたとき奈津子がいて、すごく安心したんだ。
それで、純粋に話を聞いてほしいって思った」
素直になるって、思ったよりも簡単なことらしい。
…ただ、かなりの歯痒さは伴うけど。
「一ノ瀬さんがそう思ってくれるなら、ぜひ聞かせてください」
彼女を横目で見ると、熱い視線を返してくれた。