着せ替え人形
「…彼女、きっと一ノ瀬さんに付き合ってもらえて幸せだったと思いますよ」
少し照れながら彼女が言った。
「…どうだろうね」
正直、そう言える自信はなかった。
「だって、一ノ瀬さんが女性といるのに手出さないってすごいことですよ!」
真剣に彼女は言ってくれてるんだろうが、バカにしているようにしか聞こえないんだが。
「…怒らせたいの?」
冗談でそう尋ねると、
「いや…純粋にうらやましいなって」
その一言で急に顔が熱くなった。
…これ以上俺を混乱させるなよなぁ。