着せ替え人形
18:00
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早朝に一ノ瀬さんの実家から帰ってきてから、倒れるように眠りにつき、いつもどおりに仕事を終えて帰ってきたらこんな時間。
なんとなく、テーブルに置いたままだったアルバムを手に取ってみる。
…色んな意味で重いよ。
私が本当に見ていいものなんだろうか。
まだ納得できない部分が多いけど、一ノ瀬さんから頼まれたんだからちゃんと見なきゃいけないよね。
ソファーに座って、ゆっくり表紙を開いた。
思わず息を飲む。
写真の女性が美しくて…と言うよりも、
一ノ瀬さんの視線がまっすぐすぎて…と言ったほうが正確だろう。
写真の一枚一枚から、一ノ瀬さんの思いが溢れだしていた。
中には友人や、高宮さんと思われる人も映っているものもある。
でもただ、一ノ瀬さんが映っているものはアルバムに収められていなかった。
…それくらい、彼女を瞳で追い掛けるので精一杯だったんだね。
「…これじゃかなわないよ」
思わず口からそうこぼれた。