着せ替え人形
…ピンポーン
通話が切れてから、5分もたたないうちにインターホンが鳴る。
おそるおそるディスプレイを見ると、期待を裏切られるはずもなく、一ノ瀬さんが映っていた。
急いで玄関に行き、大きく息を吸ってドアを開いた。
「こんばんは。
寝不足でお疲れのところ悪いね」
いつもより数割り増しでかっこよく見える彼の笑顔。
「いや、一ノ瀬さんの方こそお疲れなのにすみません。
言ってくれればよかったのに…」
「昨日の写真があまりにもいい出来だったから…何だかじっとしていられなくてね」
そう言って一ノ瀬さんは封筒に入った写真を手渡した。
「お母さんもきっとおどろくよ。
早く見てみて」
自信満々の声でそう急かしてくるから、おそるおそる袋を開いた。