いわし雲のように【SS集】

 例え、それが残酷な仕打ちだったとしても、彼等にとっては抗いようのないことだった。

 4人は身を寄せ合い、身動ぐこともなくソレを我が身に受け入れる。直後に訪れるのは焦げるほどの熱。

 しかしそれでも彼等は満足そうな表情こそすれ、苦痛に顔を歪めることはなかった。

 火照りが引くと今度は蠱惑的な香りと粘液に身を包まれる。

 ふと隣を見れば自分たちと同じように恍惚とした表情でそれに満たされるモノたちがいた。

 幾つかの同じ境遇のモノたちと寄り添った彼等はひとところに詰め込まれ──



「はい! 出来立てのみたらし団子だよ~。お客さん、どうだね? 1パック5本入り300円だよ~」



──今日も飛ぶように売られていくのであった。


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