メトロポリタン・メロンティー・メロンシティ
このアパートには似合わない、お洒落な曲が耳に入ってくる。
どこからだろう。
外からかな。
俺は部屋を出て、階段を下りた。
トネさんが住む、隣の部屋から聞こえる。
確か、メロンの街を描いた……平岡だっけな?
辺りをチラチラ見てから、俺はチャイムを押した。

音楽がうるさくてチャイムに気が付かないのか、全然反応がなかった。
部屋に戻ろうとしたら、ドアが開いた。
よけいに音楽が漏れてくる。
「あー、あの音楽が気になって。……平岡さんですか?」
ロン毛ヘアーのガリガリ男だった。
「……いえ、違います。」
「あっ、そうですか。」
あれ?違ったっけ。
クエッションマークを頭に浮かべて、俺はドアを閉めた。
閉じるギリギリになって、ガリ男は言った。
山岡ですよ、と。
あっ!?
そうだった、そうだった。
いやぁ、昔から顔と名前は覚えようとしないんだよね。
閉めたドアをまた開け、俺は勝手に上がった。
お構いなく、お構いなく、ってな。


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