メトロポリタン・メロンティー・メロンシティ
ドアを開けると、引きつった顔が治った。
そこには、美人さんが立っていた。
「隣に引っ越してきた、松江 愛子です。つまらないものですが、どうぞ。」
膨らんだ紙袋を渡され、愛子は去っていった。
俺はサンダルを履き、外に出た。
やばいっ、タイプかも。

愛子は左端の部屋のチャイムを押した。
俺が前に行ったとき、誰もいなかった部屋だ。
返事が返ってこなく、愛子はもう一度押そうとした。
そこの人、前もいなかったよ。
俺がそう言おうとしたら……
「そこの人、前も………」
部屋からメタボおっさんが出てきて、膨らんだ紙袋を受け取っていた。
愛子はこちらを見て、困った顔をした。
「どうしました?」
「前も……前盛さんって言うんだよ。」
無理矢理な言葉。
そうなんですか、と顔をした。
「前盛さんっていうですか?」
すぐにメタボおっさんは言った。
「横森 美紀夫です。」
赤っ恥をかいた俺。


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