§Cherish§
「あの…。」
『…ひでぇよな、町田も。』
「えっ?」
彼は止まることなく続ける。

『女子に、こんな重いもん、
 運ばせるかよ、普通…。』
「いや、あの…っ!」

“貴方、勘違いしてます!”

そう言い出そうとした時、
『着いたよ。どこに置く?』
と彼が振り返る。

「空いてる場所に…」
咄嗟に答えると、
『了解…っと。』
と、彼は机に置いてくれた。

「あの、私…っ!」
『それじゃ、お疲れさん!』

私はまだ名乗っていないし、
お礼も言っていないのに。

彼は、ひらりと手を振って、
歩いて行ってしまった。

…また、会えるからいいか。
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