§Cherish§
§Cherish§ #12


どれくらい眠ったのだろう。
カーテン越しに見る空は、大分
夕闇が迫っていた。

部屋に各務君の姿はなく、私の
傍らに彼のスウェットスーツと
肌着がおいてある。

部屋のどこかで、洗濯機の回る
音がしている。
その音に紛れ、シャワーの音が
聞こえてくる。

その音を頼りに部屋を進むと、
浴室、脱衣室と、回る洗濯機を
見つけた。

良く考えれば、どこもかしこも
男の子らしく簡素で、清潔感の
ある部屋だよね…。

彼女、いるんじゃないのかな?

台所にしたって、独り暮らしの
割には、食器や道具がきちんと
揃ってたし…。

今更、独りで悶々と悩み出す。

すると、勢い良く、浴室ドアが
開き、各務君が顔を出す。

『***、こっち、来いよ。
 風邪ひいちまうだろ?』
「あ、…うん。」

すぐそこに有ったタオルで躯を
隠しながら入ると、各務君が
『今更、何隠してんだよ…』
と、吹き出して笑った。

「それはそうだけどねっ…」
『まぁ、別に良いけどね。』
< 21 / 26 >

この作品をシェア

pagetop