§Cherish§
§Cherish§ #4
英文科教授室に入ると、
『初の講義はどうだったかね』
と、町田教授は言った。
「とても感慨深いです。」
『君は僕の教え子で、当時は
講義を受けていたのだよな』
「はい。懐かしいですね。」
町田教授は目を細めながら、
『**君の様な真面目な人が
引き受けてくれて、安心だ』
とコーヒーを啜って続けた。
教授室の前を、各務君が通り
過ぎる。
しかも、各務君は、こちらを
見て私と目が合うと、素っ気
なく横顔を見せた。
一瞬、胸がチクンとする。
……何でだろう。
実は、嫌われてるのかな、私。
……ううん、嫌いだったら。
あの時、助けたりしないよね?
男って、本当に解らない!
『どうかしたのかね?』
教授の声に、はっと我に返る。
「いえ、ここに戻れて嬉しい
です。有難うございます。」
『そうか、それは良かった。』
町田教授は満足そうに微笑み、
再び文献に目を落とした。
さて、今日は2講以降はない。