§Cherish§
§Cherish§ #5
各務君の後ろ姿を見つけた私
は、そーっと近づいてみる。
あと、1メートル。
更に慎重に近づき、
………残り、30センチ。
背伸びして、各務君の耳元で
“わっ♪”と言ってみよう。
そして、遂にその時が…来た!
せーのっ!
『何してんの?』
突然、各務君が振り返り、私は
「きゃぁっ!」
と仰け反り、バランスを崩す。
『…って、**…!!』
各務君は慌てて、私の左手首を
掴んで引き戻す…が、さすがに
間に合わず…。
額が何かにぶつかり、恐る恐る
目を開けた瞬間、息を飲んだ。
各務君の左腕が、庇う様に私を
抱き止めていたからだ。
…当然、私が額を打ち、目前に
あるのは、各務君の胸板で…
(近すぎる!ど…どうしよう!)
余りの衝撃に、身がすくむ。
逃げ出したい…けれど、身体が
言うことを聞かなくて…。
『おいっ、**先生!?』
心配そうに私を覗き込みそうな
各務君を、
「あと…5秒待って…」
と制したけれど、各務君は
『は?何をだよ?』
と、私の意を汲めず覗き込む。