HONEY&ROSE

失いたくない


救急隊員が手際よく処置をし担架に乗せ病院へ搬送する。
救急車のサイレンが止むとタマコは薔薇の庭園から程近い総合病院に運ばれた。

ひんやりとした空気が流れる廊下をタマコが担架で足早に運ばれる。

「たまぁ!!」堪らなくなって多岐川が叫んだ。

「処置しますのでお待ち下さい。」
看護士がいささか冷たくそう言った。

-たまが・・どうにかなっちゃったら・・・-
スズメバチに刺されると死に至ることだってある。頭部近くならなおさら。

-30分後-

医者が処置室から出てきた。
「解毒をして点滴をしました。容態も安定しています。首のはれも次第に引くでしょう。
大事をとって今日一日入院になりますので。」

「はい。ありがとうございます!」

医者は制服を一瞥して
「あなた達学生でしょう。彼女の親御さんに連絡をいれてあげてください。自分の家にも連絡するのだよ。」

「はい・・・。」

そうだった。放課後、友達と話をしてる彼女を呼び出して庭園に連れ出したのだった。

学生まるだしだ。

「まずいな・・大事な娘さんに何してるんだろう、俺。」

多岐川はタマコの携帯から自宅の番号を探し、躊躇うことなく電話をかけた。

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